いつから始める?あらゆる世代にお勧めしたい、最低限これだけはしておきたい終活とは?

最近巷で終活という言葉が定着してきましたが、みなさま、終活ってどのような事か知っていますか?
いつから取り掛かればいいのでしょうか?
エンディングノートに記入する事も立派な終活ですが、葬儀のこと、銀行口座、旅立ちのお洋服、遺影など準備することなど、やっておくことはたくさんあります。
そこで、緩和ケア病棟(ホスピス)の看護経験を持つlamilahoが、何かあった時でも慌てずに済むための最低限これだけはしておいたほうがよいと感じた終活の対策を5つ説明していきたいと思います。

終活は亡くなるための準備ではなく、亡くなった後、残された人たちに様々な手続きでバタバタさせるのではなく、お別れを惜しむ穏やかな時間を持てるようにする為の準備と捉えて欲しいです。

日本人は死に関して話すことはタブーで、死に関して話し合うことは縁起が悪いことという傾向が強いように感じます。
死は誰にでも平等に訪れることです。
終活は、自分の人生をどのように生き、どのような人生にしていくかを考えるきっかけにもなりますよ。
1)あらゆる世代にお勧めしたい終活のための5つの対策!
①そもそも終活とは?
『終活』とは、残される人のことを考えながら自分の死と向き合い、自分らしい最後を迎えることができるように準備することです。
lamilahoは救急の現場でも働いていました。
その現場では様々な死と向き合ってきました。
朝元気に家を出て行った夫・父と、瀕死の状態での対面…
元気に過ごしていたはずなのに、突然の死…
命には限りがあるし、あって当たり前ではなく、本当にありがたいものであるということをいつも感じていました。
そこに居て当たり前の存在になってしまって失うまで本当の大切さに気付きにくくなるものでもあります。
そんなことを感じながら看護にあたっていました。
また、家族であっても、相手がどのような最期を希望しているか知らないものです。
ある人は、現代の医療を最後まで受けて最後まで病気と闘いたい。
またある人は、予後が分かった時点で、身体が動く限り色んな所へ旅行したい。
ギリギリまで家で過ごしたい。
家で看取って欲しい。
家族に不安を与えたくないから入院したい。
食べたいものを食べたい時に食べたい。
など人によって様々な思いがあります。

ご自分の身近な人が、最後の時間をどのように過ごしたいか知っていますか?

話し合ったことはありますか?
終活といえば、お墓や葬儀のことを考えがちですが、救急の現場や緩和ケア病棟での看護経験のあるlamilahoは、どのような最期を迎えたいかを身近な人へきちんと伝えること、これが終活の本来の目的だと考えています。

②エンディングノートとは?
エンディングノートは、
①医療・介護:自分が病気になった時にどうしたいか、今のかかりつけ医、内服薬など
②住居:自宅で過ごしたいのか、補助金制度による修復は必要か、施設への入所を考えているのか、介護度によるサービス内容や費用など
③財産:保険金、年金、預貯金、有価証券、不動産、口座引き落としされるものなどの管理
④相続・遺言
⑤自分のこと:好きなこと、趣味、特技、性格、気になること、持ち物の処分方法、友人・知人一覧
⑥葬式・お墓:宗教、永代供養墓の希望、散骨など
これらのことを順を追って記載していくためのノートです。
エンディングノートへの記載だけが終活ではありませんが、エンディングノートへの記載は、自分の情報を『整理』し、必要なことを『伝える』ために、また、自分の人生を振り返り、今からの人生に生きがいや目的を見出す手段でもあると考えます。
lamilahoは、緩和ケア病棟で勤務するようになって、エンディングノートの大切さを知り、すぐに購入・記載しました。
また、終活として自分の最期の時間の過ごし方について夫と話し合い、現時点での希望をきちんと伝えましたよ。

③葬儀会社やお墓の選択と事前申し込み
lamilahoはアフリカから沖縄へ移住してきました。
アフリカは土葬です。お葬式でも、にぎやかに、そして厳かにゴスペルをみんなで歌い、ゆったりと時間が流れていきます。
最近になって日本のように積み立て式で事前に葬儀を申し込めるシステムが導入されたようです。
お墓は郊外にあるため、自家用車がない場合は乗り合いタクシーを乗り継ぎ、数時間かけてお墓詣りへ行きます。
沖縄では、先祖崇拝の文化が強く、亡くなられた後様々な儀式を経てご自宅や葬儀会館へ行かれます。
沖縄へ来たことがある人は分かると思うのですが、お墓がすごく大きくて立派です。
お墓と知らない時は住居かと思っていました。
沖縄のお墓は子宮の形をしていると言われており、亡くなった後、また生まれ変わるために生まれてきた子宮へかえると信じられているようです。
地域によっては女性が離婚した場合、家のお墓に入れてもらえないとのこと。厳しいですね。
最近では少子化・核家族化がすすみ、墓じまいをされて跡継ぎを必要としない永代供養墓とするケースが増えてきているように感じます。
私たちのような移住者も多いですしね。
時代の需要に応じて、近頃では各葬儀会社により様々なプランが準備されています。
盛大に執り行いたい方向けのプランであったり、lamilahoのように葬式もお墓もいらない質素なプランでよい人向けだったり。
事前相談や積み立て方式など色々あるので、まずは何件かに連絡し、資料請求してみるのもよいのではと思います。
自分の要望を伝えることにより、希望に合ったプランを立ててくれますよ。
最近は患者さんのご家族から『やさしいお葬式』を使っているのをよく耳にします。
低価格なのに迅速に対応してくださり、信頼も厚いように感じます。

なぜ葬儀の準備をしておく必要があるのでしょうか?
最期のお別れの大切な時に、葬儀会社を探したり、葬儀会社へ電話をして葬儀の契約をしたりと、大切な方を病室(または最期を迎える場所)に一人ぼっちにしてしまうことを避けるためです。
病院で亡くなった場合は、病室に滞在できる時間も限られてきます。
そのため、残された方々が手続きや契約に追われず、穏やかな時間の流れの中で悲しみや寂しさを分かち合う為に、終活をもって葬儀社と契約し、電話一本で手配ができるようにしておくことはとても大切なことだと感じています。
最近の傾向では、大切な家族の一員であるペットの葬儀も行われています。
半面、料金設定があいまいで高額請求されるといったトラブルも多いようです。
ペットの葬儀でも、信頼できる業者さんを選ぶ必要がありますね。
lamilahoの愛犬は現在17歳。時に痙攣を起こしながらも頑張ってくれています。
母はこの17歳の愛犬が亡くなった時は、ちゃんと葬儀をしてあげたいと言っていました。
大切な家族の一員です。
大切なペットの終活についてご家族みんなで話し合っておくことも大切ですね。
④意外と知られていない各市町村の給付金制度や市民葬・区民葬
昔、集中治療室に勤務していた時、ある陳旧性心筋梗塞で入退院を繰り返していた患者さんから市民葬について伺いました。
それまでは、葬儀は葬儀会社と契約し執り行うものだとばかり思ってました。
そこで、詳しく調べたところ、それぞれの自治体には、自治体と葬儀社が提携し標準的な葬儀を提供している『市民葬』や『区民葬』なるものがあることを知りました。
周りの人たちに聞いても、意外に知られていないことも判明。
亡くなられた方や喪主である方が、その自治体の住民であれば利用でき、一般的な葬儀社の葬儀と比べやや安い価格で葬儀をあげることができるようです。
ただし、必要な内容を追加していくとそれ相応に費用が高くなってしまうこともあるので、まずは核自治体へ問い合わせてみるといいかと思います。

あと、『葬祭費(埋葬料)』という給付金を受けることができるって知ってましたか?
私は知らなかったですし、周りからも教えてもらうこともありませんでした。
ご家族の葬儀を行った場合、亡くなった日から2年以内に手続きをします。
国民健康保険かそれ以外の健康保険かによって手続きをする窓口や受け取れる給付金額が異なるので、確認の上対応窓口で手続きをしましょう。
⑤旅立ちのお洋服や遺影の準備
みなさま、パートナー様やご家族がお気に入りのお洋服など知ってますか?
旅立ちの衣装の準備を依頼する時、「え?何がいいんだろう?」と意外に皆様困惑されます。
だからアドバイスとして「いつも着ていたお洋服」とか「仕事着」「お気に入りの着物」「お祝いの時に着ていたもの」などと伝えていました。
着物の場合、普段から着けることがない方が準備されると、必要なものがなかったり、不要なものがあったり。
もしご自分が希望する洋服や着物がある場合は、終活の一環として旅立ち用の衣装を一式揃えておくことをお勧めします。

あと、遺影。
ガンの告知もまだまだされていなかった数十年前、私は父をガンで亡くしました。
その当時は亡くなる前に亡くなってからの準備(終活なんて言葉もありませんでした)をするなんてもってのほか。
父が亡くなった後、出来上がった遺影をみて、ショック過ぎてやり直していただきました。
その頃は合成写真だったようで、顔と肩幅が全くチグハグ…
怒りすら湧き上がってくるほどひどいものでした。
この遺影を見た母が「私は前もって終活して自分の写真を準備しておきたい。」と言ったほどです。
早くに準備してしまうと写真と実年齢がかけ離れてしまいますので、どこかへ出かけた際のお気に入りの写真などをストックしていきながら、一定期間で見直していくことをお勧めします。

⑥銀行の預金はどうする?
銀行口座は大切な方が亡くなた際、いつから凍結されるか知ってますか?
このことは緩和ケア病棟で働くようになった時に、身辺整理をされていた患者さんから教えていただき知ることができました。
口座の名義人が亡くなり、口座のある金融機関がそのことを把握した後、口座が凍結されます。
故人の預貯金は「遺産」の対象となるためです。
凍結された口座は預金の引き出し、預け入れ、振り込み、引き落としといった手続きは一切できなくなります。
口座名義人が亡くなった後でも金融機関が死亡を確認していなければ口座は凍結されませんが、その間に預金を引きおろすなどの行為により、①他の共同相続人とのトラブルを招く、②後々、実は相続した財産が負債の方が大きく、相続放棄したくても単純承認(おろしたお金を自分のために使った場合)したことにより相続放棄ができなくなるなどの問題があります。
口座が凍結されても、その後相続手続きを行えばきちんと支払われます。
ただ、相続税の問題はあります。
相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。(*2015年に改正されました)
仮に配偶者と子1人の場合は、相続財産が4,200万円以下であれば相続税は発生しません。
なにが問題かと言えば、当面の生活費を引きおろせない、公共料金の引き落としやクレジットカード会社からの引き落としができないことなど。
終活の一環として、状況が変化した際は、早めに各種の引き落とし口座の変更などの手続きをすることをお勧めします。

2)まとめ
終活はいつから?それは今この時からです。
ご自分の人生を有意義なものにするために
エンディングノートを記入しながら色々なことを振り返り、整理し、
葬儀社と自分の希望の葬儀・お墓を相談しながら契約し、
旅立ちの時に着たい服を準備しておき、
素敵な遺影を準備し、
銀行口座をまとめ、財産を把握・整理しておくことをお勧めします。
もしものとき、身近な人が困らないエンディングノート 令和版 (TJMOOK)

緩和ケア病棟では看取りの時期が近付くと、看取りパンフレットを用いて、患者さんのこれから起こってくる変化・葬儀会社との契約・旅立ちのお洋服の準備などをキーパーソンの方と確認します。
それは死を宣告するためではなく、残された大切な時間を有意義に過ごしていただきたいから。
もちろん、死に対する心構えも必要です。
身を粉にしてどんなに一生懸命看病をされても、皆様 後悔や悔いが残るようです。
lamilahoも大切な父を亡くしたのでよく分かるのですが、大きな心の穴は時間しか解決してくれません。
しかし周りの人たちの温かな心遣いにかなり救われるものです。
どんな時でも、どんな人にも『ありがとう』『ごめんね』『感謝しています』を伝えることができる自分でありたいですね。
lamilahoは、アメリカ人医師の協力のもと、あるようでなかった英語版の看取りパンフレットを作成しました。
もし興味のあるかたはご一報ください。

皆様の人生が益々有意義なものとなりますように。